starwish’s diary

旅の記録(2002年、中国)

中学生の頃NHK特集で「シルクロード」という番組を見て以来、憧れ続けていた中国西域への入り口、敦煌に出かけた。午前10時に関空を出て、人民でごった返す北京首都机场を経由し、都合9時間ほどかかった。中国人民というのはもっとゆったりとした時間を過ごしているものと思っていた私は、その騒々しさとけたたましさと図々しさに度肝を抜かれた。

f:id:starwish:20180513144454j:plain

飛行機を降りて周囲を見渡たしたところ。人工物が一切ないせいか、とにかく広い。距離だけ考えればアメリカよりも近いはずだが、何だかずいぶん遠くに来た感じがする。

f:id:starwish:20180513144549j:plain

赤いサンタナのタクシーを借りきって、玉門関を目指す。進めども進めども空と大地以外何も目に入らぬ景色の中を、2時間ほど疾走すると何やら土色の塊がポツリと見えてきた。

f:id:starwish:20180513144719j:plain

修復工事中で足場が組んであり、職人さんたちが作業中だ。  奥に見えるのがツーリストセンター。資料館とみやげ物屋が入っている。  記念に玉門関の周りの砂をペットボトルに詰めて持って帰る。検疫には内緒だ。

f:id:starwish:20180513145048j:plain

f:id:starwish:20180513145105j:plain

玉門関から20キロほど進んだところにある城塞跡。玉門関と違ってこちらはひっそりとしており、いかにも砂漠の中にたたずむ古代遺跡といった雰囲気だ。</BR>

f:id:starwish:20180513145146j:plain

敦煌市内から公共汽車(こんこんちぃちゃあ:市バス)で南へ10分ほど走ると、鳴沙山に着く。バスを降りて南にしばらく歩くと、巨大な砂山の圧倒的な存在感に思わず声が出る。しかしここ、改費50元(正式レートでは750円だが、感覚的には2、3千円)はやっぱり高いぞ。

f:id:starwish:20180513145217j:plain

そこに山があるので、とりあえず登ってみる。高さはわずか5,60メートルらしいが、何せ足元が全部砂なので、登頂は思ったほど楽ではない。

f:id:starwish:20180513145250j:plain

鳴沙山頂上から眺めた、遥かタクラマカン砂漠に沈む夕陽。まさに絶景。ここでは毎日陽はこんなふうに落ちて行くのだと思うと、いつもの1日にももっと大きな意味を持たせたい…そんな気にさせる風景だ。

f:id:starwish:20180513145313j:plain

敦煌市内からミニバス(軽四)に30分ほどガタガタ揺られて、莫高窟にたどり着く。車内で二人連れのおばちゃんに話しかけられるも、悲しいかな何を言っているのかわからない。それでも何となく「どっから来た」と言っているような気がしたので、「我是日本人」と答えると「我是南京人」と返された(ような気がした)。一応会話は通じていたのだろうか。
事務所で日本人ガイドを頼むと、日本人ツアーにくっついて見学することになった。関係者のような、部外者のような、何というか微妙な立場だ。何番窟だったかは忘れたが、昔の旅人が洞窟で釜炊きをしたせいで、せっかくの壁画がすすで真っ黒になってしまったという話には笑えた。

f:id:starwish:20180513145344j:plain

写真は莫高窟の中でも一番目立つ96窟の外観。中には大仏様が座っている。何でも大昔はむき出しだったらしい。

f:id:starwish:20180513145436j:plain

莫高窟は中国語では「モォゴォクゥ」と発音する。通常「モォゴォ」、あるいは単に「モォ」と呼ばれる。敦煌市内からミニバスがたくさん出ており、5元から10元という値段だ。
もともとこのあたりは党河という川のおかげで緑豊かな場所だったらしいが、最近河が涸れてしまい、砂漠化が進んでいたらしい。そこで運河を引いて再緑化したとの事。そのため砂漠の中にあって、このあたりだけは際立って緑が多い。

復路のバスは確保できていなかったので、駐車場にとまっているミニバスに頼んで同乗させてもらうことにする。手元の中国語会話集を見て「我去敦煌。我可以乗好吗?」をやっとの思いで発音すると、乗り合いバスに5元で乗ることができた。
バスは莫高窟で働く人民の通勤バスらしく、仕事帰りの人でいっぱいだった。車内はとても賑やかで、何を言っているのかはわからないが、何だかとても楽しそうだった。